遺書と遺言は違う
トラブルの予防のために遺言書を作成することはとても大切です。
では、遺書と遺言書の違いはなんでしょう。
大きな違いは、遺書には法的効力がなく、遺言書には法的効力がある、というところです。
遺書は家族へのメッセージにはなりますが、「〇〇に全部の財産を譲る」と書いても法的な効力はありません。一方、遺言書は法的な効力を持つ書類になります。実際に相続が発生した場合に遺言書の有り無しが重要であることはよく知られていますが、法律的に有効な遺言書を作ることは簡単ではありません。
今回は、遺言できる内容にはどんな項目があるのかについてご紹介します。
▷「遺言書を法務局で預かってくれる制度」についてはこちらの記事をご覧ください
遺言できる内容
民法では法定相続分が規定されていますが、法定相続分は遺言がない時に限って適用されます。
遺言では、誰がどれ位の遺産を相続するかを指定する「相続分の指定」や、相続人としての資格を失わせる「排除」などもすることもできます。
遺言により行うことができる事項
- 財産処分
法定相続人がいる場合でも、相続人以外の人に遺産をすべて遺贈・寄付することが可能です。相続人の遺留分について考慮する必要はありますが、遺言は無効になりません。 - 相続人の排除または排除の取消し
遺言でも相続人の排除または排除の取り消しを行うことができます。
※遺言執行者が家庭裁判所に請求する必要があります - 認知
子供との間に法律上の親子関係を創設します。遺言によって認知することもできます。 - 未成年後見人および未成年後見監督人の指定
子が未成年の場合、信頼している人を遺言によって、未成年後見人や未成年後見監督人に指定できます。
※指定できるのは、最後に親権を行う人だけです。 - 相続分の指定または指定の委託
相続人の法定相続分は、民法で決められていますが、遺言によって変更することが可能です。この相続分の変更の指定を第三者に委託することもできます。 - 遺産分割方法の指定または指定の委託
相続財産の分割方法を遺言で指定することができます。
相続分の指定は、「財産の2分の1を妻に相続させる」などとしてするのに対して、遺産分割の指定では、「〇〇銀行の預金を妻に相続させる」というように、相続人と相続財産を特定して指定します。 - 遺産分割の禁止
遺産分割をめぐったトラブルになりそうな場合は、5年以内に限って遺産分割を禁止することができます。 - 相続人相互の担保責任の指定
相続人同士で、お互いに公平な分配を行うために、その相続分に応じて担保責任を負います。法定相続人の負う責任を遺言によって変更することができます。
※担保責任=ある相続人の財産に数量不足や一部が滅失しているなどの問題があった場合に、他の相続人が負う責任のこと - 遺言執行者の指定または指定の委託
遺言では、遺産の登記などの手続きが必要になるため、遺言の内容を確実に実行するために「遺言執行者」を指定することができます。認知、相続人の排除、排除の取消しを行う場合は、遺言執行者を指定する必要があります。遺言執行者の指定を第三者に委託することもできます。
遺言書に書くことができる主な内容についてのご紹介でした。
まとめ
法律どおりに財産を分ければ問題ないはずだと思っていても、主な財産が不動産で平等に分けるのが難しい場合も少なくありません。普段仲の良い家族でも、争いになる場合もあります。遺言があれば、残された家族のトラブルを未然に防ぐことも可能です。
木村のりこ行政書士事務所では、遺言書作成のサポートを行っております。
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